私は以前システムが破損したau Music Portを再インストールしようと奮闘したことがありました。結局これには成功したのですが、このとき思ったのは「Windowsのソフトウエアインストーラってなんてわかりにくい作りをしてるんだろ」と言うことです。「Macはもっと簡単だよ」と言うことです。
それは例えばウィンドウの表示方法一つとっても違いがあります。Windowsソフトと言ってもどれも一緒くたってわけではないのでしょうが、今回の無線LANや(私が以前インストールしたバージョンの)au Music Portはあまり出来のいいインストーラではなく、何かボタンを押す度にウィンドウが消え、また別のウィンドウが表示されて次の作業に行く、と言う仕様になっていました。
これだけでも問題なのです。一瞬でもウィンドウが消えるというのはインストーラが止まったのではないかとユーザに思わせますし、目もチカチカするし一貫性がありません。インストーラは作業を完了する度にウィンドウ自体を表示し直すのではなくウィンドウ内部だけ変更して(つまりウィザード形式で)表示すべきなのです。
他にも問題はあります。一つのインストーラで複数のソフトをインストールする場合、メタインストーラから個別のインストーラを呼び出してインストール作業を行うことがありますが、ここでも考慮しなければいけない問題があるのです。もしメタパッケージのインストーラがそのウィンドウ内部で経過を表示しバックグラウンドでそれらを実行するならいいのですが、いちいち画面に新しいインストーラ画面を出してインストールするなどというなら、それはユーザーに混乱をもたらすものであると私は考えます。
インストーラはまずユーザにどういった手順でインストール作業を行うのか提示すべきです。(この点について言えば今回の無線LANインストーラは合格○です。)インストールの手順がわかっていればユーザはよりスムーズにインストールを設定することが出来ます。できれば作業中もウィンドウの端に手順のリストを常に表示しておくのがベストでしょう。あと、ナビゲーションボタンの位置は統一すべきです。ボタンの配置が統一されていればスムーズに作業を進めることが出来ます。
Mac OS Xのアプリケーションでは、大抵のソフトがアップルが供給しているインストーラ作成ソフトでインストーラが作られます。つまり、どのインストーラでもインストール画面も作業の手順も統一されているのです。ユーザーは新しいソフトを導入する際もいつもしているように操作してインストールするのでたいして戸惑いはありません。また、Mac OS Xではアプリケーションによってはバンドル形式になっているソフトも多く、こちらはインストールにはフォルダにアイコンをドロップするだけと言う、より簡単な仕様になっています。
今回の無線LANインストーラでは細分化された個別のソフトそれぞれにインストールパスがいちいち表示されました。パスは重要な情報ではありますが、例えばビギナーの方がそれを見たところでそれに何の意味があるのかと私は考えてしまいます。インストール先を変えないといけない、変えることが十分考えられるソフトならともかく、ドライバのようなシステム的なソフトウェアはデフォルトのパスを変える必要はあまり感じられません。とにかくよっぽど変なディレクトリでない限り管理作業(後々要らなくなったときの削除作業など)がきちんと行えるようになってさえいれば、パスなどどうでもいいのです。無線LANのようなビギナーの方でも導入するソフトならなおさらです。もしどうしてもパス情報を表示したいならば、開示三角形の中にデフォルトでは隠された詳細項目として表示すべきかもしれません。
ちなみに的なことを書いておくと、大抵の無線LAN搭載のMacでは無線LANドライバをいちいちインストールする必要はありません。最初からデフォルトで入っているからです。無線LAN設定に関しても、今回のWindowsの無線LANドライバと比べればだいぶ簡単なものでした。今回のドライバでは、暗号化名を自分で指定して設定しなければいけなくて、(親機の方の設定がわからなかったので)全部の暗号方法で接続してみて認証されるか様子を見るというまどろっこしい手段をとらなければなりませんでした。しかしMacは勝手に検出してくれるか、選ぶとしても項目は少ないので、こちらのほうが優れていると思います。
さて、ここまでWindowsの悪口を言ってきましたが、Macだって問題がないわけじゃありません。なんべんインストーラを動かしてもエラーが起きてインストールできなかったり、アンインストーラがないものもおおく(私はインストーラを使う全てのソフトは適切なアンインストーラを用意すべきだと思う)いざどう削除しようにも出来ないことがあります。
そして、インストールやアップデートをするのにいちいちファイルをWebブラウザでダウンロードして起動してと言う作業自体が私の中で既にめんどくさいことと言う位置づけになっています。WindowsやMacにそれを導入するのには少々無理がありますが、アップデート作業のことを考えても、最終的にはLinuxみたいなパッケージマネージャを使うのが究極なのかな、と思ったりします。これなら一発でパソコン内の全てのソフトをアップデートできるのですから。
■(2009.1.24)