日の光を忘れた 絶え間ない搏動
重なり合う雲と雲とが
街に黒く降りかかる
襲いかかってくるサウダージ
真っ白な未来
昨日のこと、明日のこと
どちらを覚え[てい]ればいい
君と僕の上に 一条のきらめき
その光が重なり合うとき 何が軋み出すの
折れて欠け 砕け散った後に
倒れ去るものを 受け止めるだけの支えはあるの
地平線へのベクトルが
未来と過去をつなぐ
どちらがどちらか
そんなことさえ忘れている
削りだしていく心と心
絞り出していく声と声
駆けだしていく闇と闇
振り返ったとき誰がそこにいるの?
ただ揺らめくような浮遊感が
あの断片《かけら》のような日々をささやく
ああ、ただ帰れない 帰ってこないで
君と会いたい場所は もっと遠くに
止めきれない君の思いだけが
この灰色な地平の縁を揺り動かす
吹き荒れる嵐の中に
吸いこまれていく雫の欠片
盲目のこの空を蹴散らし
群藍色に変えていく
瞬くような啼き声が、あの空から舞い降りる
響くような、切り裂くような
この街に広がる新しい空気へ
地までまっすぐに突き刺さる
僕の横を風が吹き抜ける
舞い上がる琥珀染めの木の葉たち
紺青の旗がコンクリートの間《あいま》にはためき
その上の眩しいばかりの虹の輪へと
すべてこの瞳で追いきれるから
花咲く草原と春待つつぼみ
表と裏と裏合わせ
二つをつなぐ青いそらの下
この季節の向こうにある
ただ降り注ぐ氷霧のように……
■(09.6.1)
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